すっかり春めいてきた今日この頃。「春眠暁を覚えず」という言葉がありますが、シニア世代では多くの方が睡眠に悩んでいるというデータもあります。実は、睡眠にも加齢による変化があります。その原因を知ったうえで、ぐっすり眠るためのポイントを2回にわたってお伝えします。

加齢による睡眠の変化

①ノンレム睡眠の減少
睡眠には「深い眠り(ノンレム睡眠)」と「浅い眠り(レム睡眠)」の2種類があります。深い眠りはいわゆる「熟睡」であり、脳や肉体の疲労回復に重要であるとされています。浅い眠りは脳が活動している状態で、記憶の整理や定着が行われています。この状態では音や光などのちょっとした刺激で目が覚めてしまうため、早朝覚醒や中途覚醒が起こりやすくなります。
早朝覚醒は、入眠はスムーズにできるものの早朝に目が覚め、その後寝付けなくなるタイプです。日本睡眠学会では「朝、普段よりも2時間以上早く目が覚めてしまう」と定義されています。入眠した時間に関わらずに目が覚めてしまうため、睡眠時間が短くなりがちです。
中途覚醒は、寝入ったとしても夜中に何度も目が覚めてしまうタイプです。日本睡眠学会では「一旦寝ついても夜中に目が醒め易く、一晩で2回以上目が醒める」と定義されています。寝床に入っている時間自体は長いものの、実際に睡眠できている時間は短いのが特徴です。
中高年になると深い眠りが減少し、一方で浅い眠りの時間は相対的に長くなります。これにより「長時間寝ているのに、熟睡した感じがしない」という状態になりやすいのです。

②体内時計の乱れ
人間には1日周期でリズムを刻む「体内時計」が備わっており、意識しなくても日中はからだと心が活動状態に、夜間は休息状態に切り替わります。この体内時計に働きかけるホルモンであるメラトニンは「睡眠ホルモン」とも呼ばれ、覚醒と睡眠を切り替えて、自然
な眠りを誘う作用があります。メラトニンは、年齢を重ねるとともに分泌量が減ることが明らかになっています。早朝覚醒や中途覚醒が起こるのは、加齢により体内時計の調節機能が弱まっているためと考えられています。

ぐっすり眠るために必要なことは?

睡眠の加齢変化の2つの特徴をふまえたうえで「良い睡眠」を得るには、生活習慣や睡眠環境を見直すことが大切です。大きなポイントは以下の4つです。

1 食事の工夫
朝食は脳にエネルギーを与え、一日の活動を始めるためにしっかりとりましょう。夕食は最低でも寝る2時間前には終わらせるようにし、腹八分目を守ります。また、緑茶やコーヒーなどに含まれるカフェインには覚醒作用があります。寝つきを悪くしたり
深い睡眠を妨げたりする原因となるので、夕食後の摂取は避けましょう。

2 軽い運動
適度な運動習慣は寝つきをよくし、夜中に目が覚める中途覚醒を減らすことが知られています。夕方にじんわり汗ばむ程度の運動を30分から1時間行うのが理想的です。

3 ぬるめの入浴
人のからだは、日中は深部体温が高く入眠時間の1~2時間前に自然に低下し始めます。入浴により体の表面の血行が良くなり、身体深部の熱が効率よく放出されます。このため深部体温がゆるやかに下がっていき、スムーズな入眠に導かれます。40~42.5度のぬるめのお湯で最低でも10分以上入浴するのが効果的です。

4 眠る環境づくり
睡眠前に明るい光を浴びると、交感神経が活発になりやすく入眠の妨げになります。部屋の照明を落とし、スマートフォンやテレビのディスプレイからの光は刺激が強いので、就寝前には見ないようにしましょう。

質の良い睡眠をとることは免疫力アップにつながり、高血圧・糖尿病の予防にもつながると言われています。ひとくちに睡眠不足といっても、ストレスが原因のものや一時的なものもあれば、病による不安・痛みなどから生じる不眠とさまざまです。まずは信頼できる医師に相談することが不眠解消の第一歩です。
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