コロナウイルス感染症の感染者数が減り、街に活気が戻ってきました。しかし、これから寒くなり空気が乾燥する季節になるとウイルスも活性化し、コロナだけでなくインフルエンザやノロウイルスにも気を付けなければなりません。
引き続き「手洗い・うがい・アルコール消毒・密を避ける」など、基本的な感染防止策を徹底しましょう。それに加え、免疫力を高める「腸活」を取り入れることをおすすめします。

腸の働き

「腸活」とは、腸内環境を整えて腸の働きを正常にすることです。広告などで、すでに耳慣れた言葉ではないでしょうか。
腸という器官は、栄養素を体に取り入れるために重要な役割を担っています。胃から消化されて腸へ運ばれてきた栄養素を吸収すると同時に、有害物質をきちんと選別して便として排出しています。たとえ3食きちんと摂取していても、腸の働きが良くないと栄養が体にうまく吸収されず、貧血や骨密度の低下、低栄養が起こりやすくなり、免疫力も低下してしまいます。


理想的な腸内環境

人間の腸には、約1000種類・100兆個もの腸内細菌が生息しています。腸内細菌は種類ごとに塊となって腸壁に張り付いており、品種ごとに咲いているお花畑のように見えることから「腸内フローラ」と呼ばれています。この腸内フローラのバランスを保つことで、人は健康を維持しています。腸内細菌には、人体に良い影響を与える「善玉菌」と悪い影響を与える「悪玉菌」、どちらでもない「日和見菌」があり、腸内環境はこれらの腸内細菌のバランスで決まります。理想的なバランスは「善玉菌:日和見菌:悪玉菌=3:6:1」。善玉菌は加齢とともに減少し、生後数日の赤ちゃんでは善玉菌が90%ですが、大人になると20%まで減少するともいわれています。悪玉菌が多いと便秘や下痢、肌荒れなどの不調があらわれます。悪玉菌より善玉菌が多い腸内フローラに整えることが、健康への第一歩となります。


腸活のメリットとは?

腸活にはさまざまなメリットがあるという報告があります。

1.便秘・下痢が改善する

悪玉菌は腸のぜんどう運動に支障をきたすため、便秘や下痢の原因となります。便秘により腸内に老廃物がたまっていき、その有害物質が血液中に吸収されて全身に行きわたることで、肌荒れなどの影響が出ることも。悪玉菌を減らし善玉菌を増やすことで便秘が解消されます。

2.動脈硬化の予防

善玉菌には、脂肪細胞を燃焼させて血清コレステロールを低下させる効果があります。悪玉コレステロールが血管の壁に付着して動脈硬化を促進すると、心筋梗塞や脳梗塞などさまざまな疾患を引き起こす要因となります。

3.免疫力が向上する

腸には免疫細胞の70%が存在しているといわれています。これは身体の中で最も大きな免疫系なので、腸活をすることで免疫力の向上につながります。
免疫力が高まると、インフルエンザなどの感染症にかかりにくくなる、花粉症が改善する、がんの予防など大きなメリットがあります。また、肌を作るコラーゲンや天然保湿因子は腸から吸収された栄養素から作られ、さらに腸内細菌は人が作れないビタミンも作ってくれています。これらは美肌やアンチエイジングにも一役買っています。

4.精神安定・ストレス緩和

ストレスを感じるとお腹が痛くなったりすることがあるように、脳が腸に影響を与えることがあります。「脳腸相関」と呼ばれ、自律神経やホルモンなどを通してお互いに密な関係であることを示した言葉です。腸内環境を安定させたマウスのストレス症状が緩和したという興味深い実験報告もあり、今では「脳と腸」だけでなく「脳と腸と腸内細菌」の相互関係がさまざまな分野で注目されはじめています。


このように、腸内環境は人の健康や美容のみならず、心の状態にも大きな影響を与えています。腸活によって腸を健やかに保つには、まず善玉菌が活動しやすい腸内環境を作ることが大切です。次回は食事面からのアプローチをお伝えします。