コロナウイルス感染症のワクチン接種が順調に進んでいるようです。無事に2回接種が終わられた方も、引き続きマスク着用・手洗いうがい・アルコール消毒・ソーシャルディスタンス・換気など、一人ひとりができる対策をしっかりしていきましょう。
季節の変わり目で食欲が落ちている方もいらっしゃると思います。しかし、コロナウイルスを寄せつけない免疫力を高めるため、そしてフレイルを引き起こす原因となる低栄養を防ぐためにも「どんな食事をどうとるか」が重要になります。


キーワードは「3食・バランス・たんばく質」

低栄養の予防に最も有効的なのは、バランスの良い食事です。特に、筋肉をつくるたんぱく質が多く含まれる食材や、筋肉の増強をサポートするビタミンDを多く含んだ食材(きのこ類、魚介類、卵など)を積極的に食べるようにしましょう。1日に必要とされるたんぱく質は「体重1キロ当たり1グラム」、体重60キロの人の場合、1日あたり70~90グラムです。高齢者のフレイル予防のためには体重1キロあたり1.2~1.5グラムを目指します。

たんぱく質を約60グラム摂取する1日の食事の目安は「朝食/牛乳1本、卵1個 昼食/生姜焼き2枚 夕食/焼き魚1切れ」です。これに「納豆または冷や奴、ヨーグルト、豆乳ラテ」を加えることで、プラス30グラム増やすことができます。
朝・昼・晩の3食をとることが理想です。それでも、どうしても食欲がない場合は、1食の量を減らす代わりに間食を入れるなど調整し、1日の全体量をなるべく減らさないように心がけましょう。また、運動量を増やしてお腹を減らすことも大切です。


低栄養のサインを見逃さない

低栄養を早期発見するためには、BMI(体格指数)や体重の変化、血液検査などで、体の状態を定期的に確認することが大切です。特に体重の減少は最も重要な指標となりますので、自宅で毎日測る習慣をつけましょう。「体重が6カ月間に2~3kg減少した」「1~6カ月間の体重減少率が3%以上」のいずれかに当てはまる場合は、低栄養のリスクがあると考えられます。
※体重減少率を求める計算式: (通常の体重-現在の体重)÷通常の体重×100
数値のチェックと同時に、皮膚の炎症が起こりやすい・傷や床ずれが治りにくい・むくみなどの外観や動作も低栄養のサインです。また、口や唇がかわいている・皮膚に弾力がない・だるそう・元気がなくボーッとしているなどは、脱水の状態になっている場合もあります。高齢者では低栄養と脱水が同時に進みやすいため、注意が必要です。

噛む力も鍛えましょう

前回はオーラルフレイル予防について、何よりも早期発見が大切とお伝えしました。飲み込みにくさなどのささいな変化の原因は、顔の筋肉と噛む力の低下です。加齢で口腔機能が衰えると食欲低下、ひいては低栄養を引き起こします。それを防ぐファーストステップは、噛む力を鍛えること。噛む回数が増えるような固い食材を意識的にとる、顔の筋肉を鍛えるお口の体操、ブクブクうがいをするなどが効果的です。


低栄養予防&咀嚼力UPのおすすめメニュー

たんぱく質が豊富、噛みごたえのあるメニュー例をご紹介します。水分補給したい時は汁物、食欲のない時はおやつ、など場合に応じてどうぞ。


●よく噛む焼きそば
中華めんにささがきごぼうを加えてボリューム&嚙みごたえアップ
●蒸し鶏のナッツソースかけ
ビタミンD豊富なきのこ類も一緒に蒸すのがおすすめ
●ズッキーニの豚しゃぶサラダ
ドレッシング用のオイルはαリノレン酸(必須脂肪酸、体にとって必要不可欠な脂質)を選ぶとなお良し
●ミックスビーンズと魚肉ソーセージのトマトスープ
暑い時は冷やしても美味しい
●豆腐白玉
きなこ、黒みつ、ずんだあんなどお好みで


《参考》
■第一三共株式会社 「eヘルシーレシピ」
噛む力を鍛えよう! オーラルフレイルの予防と対策 フレイル予防・対策講座 – vol.03 – eヘルシーレシピ – 第一三共株式会社
■公益社団法人 岐阜県栄養士会 「低栄養予防レシピ(元気な高齢者)」
低栄養予防(元気な高齢者)レシピ | 岐阜県栄養士会


ひまわりクリニックでは、暑くなるこの時期の診療時に皮膚の状態をみて、低栄養や脱水症のきざしを見逃さないようにしています。体重減少、食欲不振など気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。