朝晩の冷え込みが日を追うごとに強くなり、冬がすぐそこに来ていることを感じられる今日この頃。再び新型コロナ感染者数が増えており、インフルエンザの流行とあわせて不安になることもあるでしょう。

しかし感染症に限らず、自分の体の不調に気づき、無理をしないことを心がけるのが一番。本格的に寒くなる前に、万病のもととも言われる“冷え”の原因を知り、しっかりと対策していきましょう。

 

 

“冷え”は病気ではないけれど……

そもそも「冷え性」は病気ではなく、またその定義もはっきり決まっていません。手足が常に冷たい、寒がりである、低体温、といった自覚症状を感じる方は女性で約8割、男性でも4割以上いるそうです。年齢的なものだから、体質だから仕方ないと冷え性を放置するのは危険です。代謝が悪くなったり、血液の流れが悪くなることで免疫力が下がったり、他の病気の原因となるような悪影響が出てきてしまうからです。体温が1度下がると免疫力が30%以上低下するともいわれているので、冷えを侮ってはいけません。

 

 

“冷え”のタイプを知ろう

“冷え”は大きく4タイプに分かれます。

まずは、自分の冷えがどのタイプに当てはまるかチェックしてみましょう。
1.手足冷えタイプ
手足の先が冷えるタイプで、末端型ともいわれます。人間の体は気温に合わせて血管の拡張と収縮で体温を一定に保つよう調節しています。寒い時は内臓を温めようと体の中心部分に優先的に血液がいくよう働きます。そのため、運動不足や食事量が少な
く体内で熱を十分に作り出すことができないと、体の末端まで血液が巡りにくくなって、手足が冷えてしまうのです。
2.内臓冷えタイプ
手足や体の表面は温かいのに、内臓が冷えてしまうタイプです。冷えていることに気づきにくく、隠れ冷え性とも呼ばれています。起床直後にお腹に手を当ててみて、手よりもお腹が冷えている人はこのタイプです。ストレスや自律神経の乱れが原因と言われています。
3.下半身冷えタイプ
上半身は冷えていないのに、お尻・太もも・脚が冷えているタイプです。加齢により血管が細くなったり筋力が低下したりすることで下半身が血行不良になるのが原因です。特に「第二の心臓」と呼ばれているふくらはぎの筋力が弱くなることで、足元の血液を心臓に送り返せず、血液循環が悪くなってしまいます。塩分や水分を多く取ってむくんでいる人や、長時間のデスクワークをしている人にも多いタイプです。
4.全身冷えタイプ
基礎代謝が低下している高齢者などに多くみられるタイプです。また、慢性疲労や甲状腺の機能低下による場合もあるため、症状が辛い場合には病院で受診する方がよいでしょう。基礎代謝を上げるため、バランスの良い食事と適度な運動をすることが大切です。そして体を冷やさないよう、内側と外側の両方から温めるようにしましょう。

 

 

からだを温める方法

1.内側から~からだぽかぽかレシピ
水分補給が大切な高齢者は特に、朝起きたら一杯の白湯を習慣にしましょう。また、食事誘導性熱産生(食事をすることによって発生する代謝活動のこと―食事をすると体が温かくなりポカポカするという効果)が一番高いのは朝なので、朝食をきちんととることが大切です。飲料はなるべく常温・温かい飲み物(ノンカフェインならさらに安心)を選ぶようにしましょう。
そして体を温める食材の代表は、なんといってもショウガです。ショウガを使った簡単なレシピを紹介します。
●ショウガシロップ……清潔なガラス瓶に、薄くスライスしたショウガ・はちみつ・レモン果汁を入れて、常温で丸一日おく。完成後は冷蔵庫で保存し、お湯割りで。
レシピはこちらから
●具だくさんショウガ入りスープ……お鍋に白菜・えのき・ベーコンを順番に重ね、チューブ入りショウガとだしを加えて煮るだけのお手軽スープ。時間がない日の朝食にもぴったりです。スープの具はお好みで根菜・きのこ類にすると、さらに免疫力アップ。
レシピはこちらから
2.外側から~お腹と“3首”を温めて
温めるとよい部位としてよく知られているのは、首・手首・足首の「3首」と呼ばれる部分です。タートルネック・マフラー・アームウォーマー・レッグウォーマーなどを足すだけで保温効果があります。特に薄手のスカーフは夏の冷房が強い場合にも使えるので、一枚持っていると重宝します。

お腹は、一年を通して温めることを意識するとよい部位です。シルクの腹巻やカイロポケット付きの腹巻などバリエーションも豊富なので、お気に入りを探すのも楽しいですね。

体温調節機能が低下する高齢者は暑さや寒さを感じにくいことがありますので、洋服の重ね着で調節しましょう。重ね着をすることで空気の層ができ、自分自身の熱が逃げにくくなります。素肌にふれる肌着は余分な空気が入らないように適度に身体にフィットするものを、その上に重ねる洋服はほどよくゆったりしたものを選ぶのがポイントです。外出時、室温などに合わせ、周りの人が声掛けするとよいでしょう。

 

冷え症は、ちょっとした工夫と「温かくしよう」と意識することで改善されます。次回は冷えの主な原因である「血流が悪い」を改善するための情報をご紹介します。