コロナウイルスの中でも感染力が強いデルタ株が猛威をふるい、感染拡大が続いています。政府は感染者の入院について「重症患者や特に重症化リスクの高い人に重点化し、それ以外の人は自宅療養を基本として健康観察を強化する」という方針を発表しました。
8月30日時点での「自宅療養」および「入院・療養等調整中」の患者数は東京で約32,900人、全国では10万人を超えています。
もし感染して自宅での療養を余儀なくされた時、どうすればよいのか?そして家庭内感染を防ぐには?―いくつかのポイントをまとめました。


自宅療養・濃厚接触者と言われたら

自宅療養の期間は「原則として、発症日から10日間経過し、かつ、症状軽快後72時間経過した場合」と定義されています。この間は本人の外出は禁止され、保健所からの電話やLINEで1日2回健康観察を行います。

食材の買い出しにも行けません。自治体によっては食材を届けてくれるサービスがありますが、民間の宅配サービスやネットスーパーを利用する、近所の友人・知人に買い物代行の協力をお願いする必要も出てきます。災害時の防災備蓄としても、3日~1週間程度の食料やトイレットペーパーなどの日用品を日頃から用意しておくことをおすすめします。

同居の家族は基本的に「濃厚接触者」に当たります。そのため同居の方も毎日健康観察をし、潜伏期間を考慮して14日間は不要不急の外出を控えてください。コロナウイルスの潜伏期間は1日~14日で、もし無症状でも感染力はあるからです。やむをえず移動する際にも公共交通機関の利用は避けること、外出時のマスク着用及び手指衛生などの感染予防に努める必要があります。

ちなみに濃厚接触者とは「新型コロナウイルス感染が確認された人に必要な感染予防をせずに手で触れた、またはお互いに手が届く距離で15分以上の会話があった場合」ですが、該当するかどうかは保健所が個別に調査を行い判断します。


自宅療養で注意したい異変

コロナウイルス感染症の症状は、発熱・せき・咽頭痛・倦怠感(体のだるさ)です。これは一般的な風邪やインフルエンザに似ていますが、症状が長引く傾向があります。味やにおいがわからなくなったりする、味覚や嗅覚の異常がみられることもあります。発症後1週間で息切れや息苦しさが強くなり肺炎に至るケースも多く見られるため、1週間は十分に注意する必要があります。

一方で自覚症状がないまま酸素欠乏しているパターンもあるため、パルスオキシメーター(※下記参照)で測定値をチェックすることも大切です。また、日数にかかわらず、顔色が悪い、突然の強い胸の痛みや頭痛、脈拍の乱れなどがあった場合はすぐに保健所や病院へ連絡してください。

※パルスオキシメーター……体内に酸素をどの程度取り込めているかを示す「酸素飽和度」を測る機器で、96%以上が正常値、93%以下では酸素吸入が必要とされています。保健所の判断により貸し出し有り。


家庭内感染を防ぐ!

新型コロナは飛沫感染または接触感染によって広がります。自宅は3密(密閉・密集・密接)の環境になりやすい場であり、家庭内感染は最も多い感染ルートになっています。厚生労働省は8つのポイントを掲げています。

《自宅での感染予防 8つのポイント》

1.部屋を分けましょう

2.感染者の世話をする人は、できるだけ限られた方にしましょう

3.感染者・世話をする人は、お互いにマスクをつけましょう

4.小まめに手を洗いましょう

5.日中はできるだけ換気をしましょう

6.手のよく触れる共用部分をそうじ・消毒しましょう

7.汚れたリネン、衣服を洗濯しましょう

8.ゴミは密閉して捨てましょう

厚生労働省は8つのポイント


どうしても個室が確保できない場合は、同じ部屋の中にいる家族はマスクを着用し、十分な換気(1時間に5~10分程度、2か所の窓を開けて)を行うようにしましょう。

またトイレ・洗面所も共用せざるを得ない家庭がほとんどだと思います。感染者が使用した後には十分な清掃と換気を行い、入浴は家族の中で最後にしてもらうのがよいでしょう。タオル・シーツの共用は避けますが、洗濯は一緒でも問題ありません。

食事する場所は別々にし、感染者が使用した食器類の洗浄も通常通りでよいですが、食事で出たゴミは密封して捨てるようにしましょう。

感染者の使用したマスク、鼻水が付着したティッシュなどの処分には特に注意を払い、作業の後にはせっけんで手を洗いましょう。


十分気を付けていても家庭内感染を防ぐのは容易なことではありません。一番の対策は、コロナウイルスを家庭に持ち込まないことです。ワクチン接種を2回終えられた方でも感染する可能性はありますし、ワクチン未接種の方への感染を防ぐためにも引き続き「手洗い・うがい・消毒・換気・ソーシャルディスタンス」を徹底していきましょう。


ひまわりクリニックでは、新型コロナ感染症で自宅療養中の方、入院・療養等調整中の方で体調不良を起こされた場合、ご連絡をいただければ往診に参ります。
往診は訪問診療と同じ距離になります。詳しくは訪問診療ページをご覧くださいませ。



参考
千葉県 ご自宅で療養される方へ
東京都「新型コロナウイルス感染症 自宅療養者向けハンドブック」