梅雨明けと共に猛暑がやってきましたね。この時期に気を付けたいのは、熱中症と食中毒。
熱中症による救急搬送者は、高齢者が6割を占めます。熱中症警戒アラートや予報などを参考にし、気温が高い日中の行動はなるべく避け、こまめに水分補給をしましょう。特に汗をかきやすいこの時期は塩分入りの飲料がおすすめです。また、エアコンを適切に使うことも大切。室温に注意し、体温調節が苦手な高齢者には積極的に声掛けをしましょう。
では、食中毒の対策は? 詳しくお伝えします。


食中毒って?

食中毒は、食べ物や手などに付着したウイルスや細菌が体内に入り、下痢や腹痛、発熱、吐き気、けいれんなどの症状を起こすことをいいます。飲食店や学校給食での集団食中毒のニュースを耳にすることがありますが、家庭の食事でも発生しています。症状は一般的に2~3日間程度で回復しますが、ひどい場合は長引いて入院の必要に迫られたり、脳症などの重病に至るケースもあります。


原因は「ウイルス」と「細菌」

ウイルスによる食中毒は冬に流行し、原因のほとんどはカキを含む2枚貝を起因とする「ノロウイルス」です。

一方細菌による食中毒は、気温が高く細菌が育ちやすい6月から9月頃に起こります。原因菌により大きく次の3タイプに分類されます。原因となる食材、潜伏期間に注意しましょう。



①感染型食中毒

原因菌に汚染された食品を摂取し、腸管内で原因菌が増殖することで発生します。
●カンピロバクター
主な原因は鶏肉の関連調理食品で、その調理過程中の加熱不足や取扱い不備による二次発生もある〈2~5日〉
●サルモネラ属菌
卵・食肉を介して起こる。子供はペットや昆虫との接触も注意が必要〈6~48時間〉
●腸炎ビブリオ
魚介類を介して起こる〈4~96時間〉
●アニサキス
生鮭などの魚介類を介して起こる、肉眼で確認できる〈1~36時間〉



②毒素型食中毒

食品中で原因菌が増殖し、産生された毒素を摂取することで発生します。
●黄色ブドウ球菌
原因の4割はおにぎり、他にもお弁当・サンドイッチ・シュークリームなど〈30分~6時間〉
●ボツリヌス菌
ビン詰、缶詰、保存食品など、酸素に触れない食品にボツリヌス菌が増殖することが主な原因〈8~36時間〉
●セレウス菌(嘔吐型)
チャーハン、ピラフなどの焼飯類、焼きそば、スパゲッティなどの麦を原材料とする麺類が原因〈30分~5時間〉

③生体内毒素型食中毒

微生物に汚染された食品を摂取し、腸管内で微生物が増殖して毒素を産生することで発生します。
●ウェルシュ菌
カレー・煮魚などを室温に放置することで増殖〈6~18時間〉
●セレウス菌(下痢型)
肉類や野菜、それらを材料としたスープが原因〈6~15時間〉
●腸管出血性大腸菌(O-157)
食肉を生や加熱不足で食べることで発症。牛肉、ハンバーグ、ローストビーフ、カイワレ大根、レタスなど〈3~5日〉


予防3原則と6つのポイント

厚生労働省は食中毒予防3原則として「①つけない ②増やさない ③やっつける」を掲げています。この3原則をベースとした「6つのポイント」をきちんと押さえることで、家庭内の食中毒を予防できるとも伝えています。
6つのポイントとは「①食品の購入②家庭での保存③下準備④調理⑤食事⑥残った食品」です。詳しくはこちらのサイトをご参照ください。
(参考サイト:厚生労働省 食中毒|厚生労働省


《予防3原則》

①食品に菌を「つけない」
まず第一に、手洗いです。加えて、スポンジ・ふきんのアルコール消毒、まな板を肉と野菜で分ける、バーベキューや鍋物の時のトングや箸も分けるようにしましょう。
②増やさない
細菌のはたらきが活発になる温度は20~50度、特に体温に近い35~40度のときは要注意です。調理した後は粗熱をとって冷蔵庫に保存。食べる前に再加熱し、なるべく早く食べきるようにしましょう。
③やっつける
細菌のほとんどは加熱することで消滅します。調理の際はよく火を通すようにしましょう。目安となるのは、中心部が75度で1分以上加熱と言われています。使用後の調理器具の消毒もしっかりと。


抵抗力が弱いと食中毒の症状が重くなる可能性があります。乳幼児や高齢者は、できるだけ加熱したものを食べることをお勧めします。なお、生の食品に限らず食品が食中毒菌に汚染されていたとしても、見た目・味・においでわからない場合もあります。購入した日時や保存の状況などにも注意を払う必要があります。

予防の基本となる手洗い・アルコール消毒は、コロナウイルス感染症の予防にも有効です。細菌もウイルスも寄せ付けないよう、引き続き徹底しましょう。