先日「今年の夏は30年に一度の『異常気象』」と気象庁から発表があり、この暑さは8月末まで続く見通しとのことです。
総務省消防庁は今年の4月30日~8月5日に熱中症で病院に搬送された人は71,266人、死者は138人と発表しました。このうち65歳以上の高齢者は搬送者全体の半数近くを占めています。
重症化や死亡につながるケースも多いので、高齢者のいらっしゃるご家庭は特に注意することが必要です。

 

 

熱中症とは

高温環境下で運動や活動中に、体内の水分・塩分バランスが崩れたり、汗や皮膚温度などの体の調節機能が正常に働かなくなり、体温が異常に上昇する状態です。
症状は、めまい、ほてり、立ちくらみ、こむら返り、大量の発汗、頭痛、吐き気、だるさなどで、最重症の場合は意識障害、全身のけいれん、高体温、発汗停止の症状などがおこり、死に至る可能性もあります。

 

もし、なってしまったら……応急処置

 まず対象者の様子をよく見て、呼びかけに応えない・自力で水分をとれない時はすぐに医療機関へ連絡して、その間に応急処置をします。
1.涼しい場所へ移動させる
2.衣服を脱がし、体を冷やす(首・脇の下・太もものつけ根を保冷剤などで冷やすとよい)
3.水分・塩分を補給する(経口補水液・スポーツドリンク)。自力で飲めない場合は無理に飲ませない。

 

予防法

熱中症は「環境」「からだ」「行動」の3つの要因で引き起こされます。日頃から睡眠・食事・適度な運動で暑さに負けない体づくりをし、熱中症が起こりやすい環境下では涼しく過ごせる工夫をしましょう。
 

こまめな水分補給
 高齢者の方はもともと体の水分量が少なく、のどの渇きを自覚しにくかったり、トイレの回数が増えるのを避けるために水分を控えることもありますので、意識的に水分をとるよう心がけましょう。水分は食事からもとることができるので3食をしっかり取ることに加え、「起床時・食事の前後・入浴の前後・寝る前に湯のみ1杯」というように、水分補給を習慣化するとよいでしょう。
外出や運動で汗をかいた時は、塩分補給も必要です。経口補水液をゆっくり飲むのもひとつの方法です。
ただし、持病のある方は水分・塩分・糖分を制限している場合があるので、主治医と相談して飲料の種類やスケジュールを決めるようにしましょう。
 

暑さを避ける
 屋外では、日かげで過ごす、日傘・帽子・冷却グッズを使用するなどして、直射日光を避けましょう。天気予報の熱中症予防情報や環境省が発表している暑さ指数(WBGT)を参考にし、外出する時間帯をずらす意識も大切です。
屋内では、昼夜ともにエアコンを積極的に使用し、室内に温湿度計を置くなどして室内の温度と湿度が上がりすぎないように注意します。エアコンの冷気が苦手な方は、設定温度をやや高めにする、タイマーを利用する、寒ければ布団を一枚足すなどの工夫を。
搬送者の6割は室内・夜間で発症しているというデータもあります。高齢者の方は暑さを感じにくかったり、我慢強さや節電の意識からエアコン使用を控えたりする方が多いそうですので、周囲の人が声をかけたり配慮するようにしましょう。

 
熱中症は正しい知識と適切な行動で防ぐことができます。ひまわりクリニックでは訪問診療の際に室内環境を確認し、快適で安全に過ごせるようなお声がけとアドバイスをさせていただきます。