8月に入ってようやく梅雨明けしたと思った矢先、太陽が照りつける暑い日が続いています。真夏日にはよくニュースで聞く「熱中症の緊急搬送」、昨年5~9月の全国の救急搬送者数は7万人を越えました。その半数は65歳以上の高齢者で、重症化や時には命を奪う恐ろしい病気です。その熱中症の一因とされるのが「脱水症」です。熱中症を予防するために、まず脱水症を予防することが大切です。

 

脱水症とは

脱水症とは、体内の水分が足りない状態のことをいいます。
原因は、体の中の水分量のバランスが崩れること。飲食により体内に入ってくる水分量が減少したり、発汗や発熱、下痢・嘔吐により体外へ出ていく水分量が増加したりした場合に起こります。
主な自覚症状は、口の渇きや体のだるさ、立ちくらみなど。皮膚や唇の乾燥や頭痛、重度になると意識障害やけいれんなどの症状があらわれます。しかし軽度の脱水では症状がみられないことも多く、特にもともとの体内水分量の少ない高齢者は、重症化して初めて脱水症に気づくこともあります。高齢であったり、認知症状があると、のどが渇きに気づきにくく、失禁や夜間のトイレを気にして水分を控えようとすることもあるため、水分摂取量に特に気をつけてください。

 

脱水症を予防するには?

一番の予防は、水分をしっかりと補給することです。一般成人の場合、食事も含めて少なくとも一日に2.5リットル以上の水分を補給する必要がありますが、なかなか大変な量です。毎日決まったタイミングでの水分補給を習慣づけるのがポイントです。毎食に加えて、発汗量が増える入浴の前後、外出・運動の前後、就寝前、起床後にはコップ1~2杯の水分をとるよう心がけましょう。また、汗をたくさんかいた時は水分だけでなく塩分や電解質の補給ができる経口補水液を摂取するのがよいでしょう。
経口補水液(オーエスワンなど)やポカリスエットなどのスポーツ飲料、ゼリータイプの物も市販されているので、常備しておくと安心です。急を要する場合は、家庭にある材料でも作ることができます。

経口補水液の作り方
【材料】湯冷まし1リットルに対して 食塩3グラム(小さじ2分の1)+砂糖20~40グラム(大さじ2~4)+お好みでレモン汁やカボス果汁など大さじ1~2※作った補水液は冷蔵庫に保管して、作ったその日のうちに消費しましょう。
参考:ユニセフ「経口補水療法」

 

飲むだけじゃない!食べながら水分補給

水分補給といっても、さまざまな方法があります。食事の工夫や、水分量の多いメニューや食材をご紹介します。
水分量の多い野菜(もやし・トマト・きゅうり)を選ぶ
パンよりも白米・うどんを選ぶ
だし汁を使ったお料理……冷や汁 夏野菜のゼリー寄せ れんこんのすりながし
フルーツ……すいか りんご キウイ・バナナ(ビタミンやカリウムも豊富です)
乳製品……ヨーグルト 乳酸菌飲料 甘酒の牛乳割り(たんぱく質補給にもなります)

 

夏バテで食欲があまりない時でも、食べやすいもの・食べたいものを選ぶことで、低栄養を防ぐこともできます。美味しく&楽しい気持ちで水分と栄養をしっかりとって、暑い夏を乗り切りましょう!

次回は、脱水症にならないための生活の工夫をお伝えします。