定期的に健康診断を受けていますか?受けた方は結果報告書を見るとき、通知表をもらった時のように少しドキドキする方もいらっしゃるかもしれませんね。今回のテーマは、特に自覚症状がなくても健康診断で“引っかかる”方が多い、高血圧についてです。


高血圧とは

血圧とは、心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押す力のことです。心臓は収縮と拡張を繰り返して血液を送り出しています。動脈の血圧が心臓の収縮により最高に達したときの値が「最高血圧(収縮期血圧)」、心臓の拡張により最低に達したときの値が「最低血圧(拡張期血圧)」です。心臓から押し出される血液の量が多ければ血管の壁には強い圧力がかかり、高血圧になります。


目安の数値を超えたら、放置しないで!

2019年の「高血圧診療ガイドライン」によると、140/90mmHg 以上が高血圧になります。ただし、診察時に緊張から血圧が高くなる「白衣高血圧」の可能性もあるため、家庭で測定する「家庭血圧」の数値としては135/85mmHg 以上が高血圧とされています。

高血圧は血管に強い刺激を与え続けるので、次第に血管が圧力でもろくなり、血管内部が狭くなります。これが、動脈硬化です。動脈硬化になるとさらに血圧が上がり、心筋梗塞や脳卒中、心臓病など重い病気になる可能性が高くなります。

この負の連鎖を止めるには「生活習慣の改善」と「降圧薬の服用」の二本柱で取り組む必要があります。


生活習慣の改善-減塩のススメ

高血圧の原因として考えられるのは「過剰な塩分摂取・肥満・飲酒・喫煙・精神的ストレス・運動不足」など。これらは生活習慣病の原因と同じで、規則正しい食生活・十分な睡眠・適度な運動が大切です。
血圧を下げるためにもっとも効果的なのは「減塩」で、1日の摂取量を6g未満にすることが推奨されています。しかし日本人の一日の塩分摂取量は約10gと言われており、これをいきなり減らすのは難しいでしょう。工夫して少しずつ減らしていきましょう。

減塩のポイント

・出汁や酸味を生かして薄味を心掛ける
出汁をとることで旨味が増し、調味料の使用を控えられます。様々な種類のお酢、レモン・ゆずなどの柑橘系の搾り汁を加えると酸味が増し、味付けのバリエーションが増えます。
・加工食品を避ける
加工食品には多くの塩分が含まれているので、なるべく取らないようにしましょう。例えばカップ麺には5.5g、梅干し1粒には1.8gもの塩分が含まれています。
・和食と洋食をバランスよく食べる
味噌や醤油に含まれている塩分も高めです。和食ばかり食べ過ぎないようにしましょう。一方洋食には脂肪が多く含まれているので、どちらもバランスよく摂取するとよいでしょう。
・カリウムを摂取する
カリウムには、ナトリウムを体外へ排出する働きがあります。カリウムが豊富な食品はリンゴ・オレンジ・バナナ・ほうれん草・枝豆・じゃがいも・人参など。(※腎機能が既に低下している人は、かかりつけ医の判断に従ってください)


降圧薬による治療

食生活を改善して1ヶ月経っても降圧がみられなければ、医師の判断により薬による治療が始まります。治療が始まったら、減塩と並行して根気よく続けましょう。
合併症は一度起きてしまうと治すのが難しく、病気の進行を抑える治療で精一杯になってしまいます。ですから、合併症が起こる前に高血圧の治療を始めることが大切なのです。
ひまわりクリニックでは血圧に関する相談を行なっております。気になることがあればお気軽にご問い合わせくださいね。