前回、血管の若さを保つために欠かせない物質「NO(エヌオー/一酸化窒素)について、またNOは運動によって増えることをお伝えしました。
運動と同じくらい大切なのが、食生活の改善です。毎日の食事を少し工夫することで血管の若さを保つことはできますし、逆に乱れた食生活を続けることは血管の老化を早め、高血圧や動脈硬化のリスクを高めることになってしまいます。


血管を強くするための食事法〜3つの原則

血液は「骨髄」で作られています。体重50キロの人の場合、骨髄で作られる血液の量は、1カ月におよそ1リットル。新たに作られては壊れるという新陳代謝を繰り返し、およそ4カ月で全ての血液が入れ替わると言われています。毎日少しずつ作られる新しい血液の質が徐々に変わっていくことで、血管力も少しずつ高まっていきます。

そのための3つの原則は、極めてシンプルです。

  1. 塩分を控える……1日の塩分摂取量の目標値【男性8.0g・女性7.0g】を守る
  2. 糖質を控える……50才以上の方は炭水化物の摂取量を半分に・血糖値の上昇スピードを穏やかにする「低GI食品」を選ぶ・食べる順番を変える(野菜ファースト→炭水化物)
  3. 善玉であるHDLコレステロールを増やす……次章で詳しい方法を伝えます。


善玉のHDLコレステロールって?

動脈硬化に深く関わるコレステロールには、悪玉の「LDLコレステロール」と善玉の「HDLコレステロール」があります。前者は肝臓で合成されたコレステロールを全身の組織に運ぶ運搬役、後者は余ったコレステロールを回収して肝臓に運ぶ回収役を担っています。この2者のバランスを適正に保つことが、大切になります。

善玉のHDLコレステロールを増やす効果が期待できる食材は「お・さ・か・な・す・き・や・ね(お魚好きやね)」です。これらの食材を積極的に毎日の食事に取り入れましょう。加えて、血管の材料となるたんぱく質、特に動物性たんぱく質を十分にとることも心がけましょう。

  • 「お」茶……渋み成分の「カテキン」
  • 「さ」かな(魚)……イワシ・サバ・サンマなどの青魚のDHAやEPA
  • 「か」いそう(海藻)……水溶性食物繊維
  • 「な」っとう(納豆)……酵素「ナットウキナーゼ」
  • 「す」(酢)……「クエン酸」
  • 「き」のこ(茸)……水溶性食物繊維
  • 「や」さい(野菜)……ビタミン・ミネラル・食物繊維【1日350g目標に】
  • 「ね」ぎ(葱)……臭いの成分「アリシン」


酸化を防ぐ〝クリスマスカラー〟の食材を選ぼう

前々回、毛細血管の働きが重要だとお伝えしました。毛細血管の衰えの原因となるのは「糖化」と「酸化」。糖化を防ぐためには、先ほど触れた食事法3つの原則の2「糖質を控える」ための取り組みを実践すること。酸化を防ぐためには、抗酸化作用のある食材を積極席に摂取することをおすすめします。

抗酸化作用が高い食材には、ビタミンE等を多く含む緑黄色野菜や、ポリフェノールを多く含む赤ワインやコーヒー、アスタキサンチンを含む鮭・甲殻類などがあります。今の時期にぴったりな“クリスマスカラー”&トナカイの色、だと覚えやすいですよね。

  • 赤……にんじん・パプリカ・鮭・カニ・エビ・赤ワイン
  • 緑……小松根・ピーマン・アボガド・緑茶
  • 茶……チョコレート・コーヒー・大豆・ピーナッツ

ただし、酸化を防ぐ効果があるからといって摂取しすぎるのは禁物です。1日の摂取基準量を守り、サプリメントに頼ったり偏った食品ばかり選ぶのではなく、様々な食材から摂取するようにしましょう。

12月から年始までの時期はイベントが多く、会食の機会も増えることでしょう。楽しみながら、血管の健康を考えた食材選びを意識してみてくださいね。同時に、インフルエンザやコロナウイルス、ノロウイルスなどの感染症対策もしっかりと!