高齢になって転倒すると、そのまま寝たきりになってしまう可能性があるので注意が必要です。今回は、当院の患者さまからお伺いしたお話を元に、「QOL」(生活の質)の維持に大きく影響する「転倒」をテーマにお届けしたいと思います。

患者さまは88歳女性。既に一度大腿骨骨折の経験があります。お母さまが転んで動けなくなったと、娘さんにお父さまから連絡があり、娘さんはすぐに救急車を呼んだほうがいいと助言しました。

しかしご本人が「呼ばなくていい」というので、娘さんがかけつけるまでの2時間近く、そのままの状態になってしまったそうです。最終的に娘さんが救急車を呼んで病院へ。結果大腿骨骨折全治4週間の診断となりました。

今回は命に別条はありませんでしたが、ご高齢の場合は命の危険性も考えられます。
大丈夫と思ってしまわず、すぐに救急車を呼びましょう。

転倒時の対応

自分の主観で判断しない
無理に立たせない、動かさない
どこにも外傷が見当たらなくても、

頭など打っている場合があるので病院へ行って検査をする

痛みを訴えたり動けない場合、意識がない場合はすぐに救急車を呼ぶ

転倒予防

何よりも事前に転倒の危険性をチェックし、対策をしておくことが重要です。
チェックする箇所は、患者さまの生活空間。
日常過ごす場所、庭、居間、寝室、浴室、玄関、階段、トイレ、台所など

また、日常歩くことがある野外の歩道や、建物の敷地内もチェックしましょう。

【チェックポイント】
浴室などが滑りやすくないか
躓きやす物が床に置いてないか
敷物などがすべらないか
電気コードなど飛び出してないか
段差がある場所に手すり等つかまる場所があるか
つまづきやすいものが床に置いてないか
本人がはくスリッパなどが滑りやすくないか

今回おうかがいした患者さまが転んだ場所は玄関でした。
慣れている場所だからこそ過信せず、今一度家の中の点検をおすすめします。

予防と実際に転倒した場合、どのように対応するか日ごろからご家族で話し合っておくことも重要です。