内閣府が発表した「平成30年度版 高齢社会白書」によると、要介護者(介護保険制度における要介護または要支援の認定を受けた人)は、2015年度末で606万人となっており、年々増加の傾向にあります。
また、要介護者等について「介護が必要になった主な原因」は、上位から認知症、脳卒中、高齢による衰弱、続いて骨折・転倒とのことです。
高齢にともなって筋肉量が減ると同時に、骨の量(骨量)も減って骨が弱くなる「骨粗しょう症」になり、骨折しやすくなります。
骨粗しょう症の原因
骨は、新たに作られること(骨形成)と古い骨を溶かして壊されること(骨吸収)を繰り返し、常につくり替えられています。20~40歳の間はそのバランスが取れているため一定の骨量が保たれていますが、その後は骨吸収が上回り骨量が減少し、骨粗しょう症になってしまうことが多いのです。
圧倒的に女性、特に閉経後の女性の患者が多く、女性ホルモンの減少や老化と関わりが深いと考えられています。また、無理なダイエットや運動不足、喫煙や過度な飲酒の習慣がある人は、骨粗しょう症のリスクが高くなります。
骨粗しょう症は自覚症状はありませんが、更年期を過ぎて「背中・腰が痛い」「背中が曲がってきた」「最近、背が縮んできたみたい」など気になる点がありましたら、骨粗しょう症を疑ってみてください。
予防が大切
骨粗しょう症予防の二本柱は「食事」と「運動」です。
カルシウムを中心に
骨の形成に役立つ栄養素の摂取を軸に、バランスの良い食事を心がけましょう。日本人は特にカルシウムが不足しがちと言われています。骨粗しょう症を予防し治療するためには、少なくとも1日1000~1500mg、つまり成人の栄養所要量の2倍以上が必要です。
カルシウムはビタミンDを同時に摂ることで、吸収率がよくなります。また、筋力アップにもよいたんぱく質も意識して摂るようにしましょう。
●カルシウム 牛乳・乳製品、小魚、干しエビ、小松菜、チンゲン菜、豆腐など
●ビタミンD サケ、ウナギ、サンマ、シイタケ、キクラゲ、卵など
●ビタミンK 納豆、ホウレン草、小松菜、ニラ、ブロッコリー、キャベツなど
日常的な運動を
骨は、負荷がかかるほど骨をつくる細胞が活発になり、強くなる性質があります。 散歩や階段の上り下りなど、日常生活のなかでできる運動を取り入れ、運動量を増やしましょう。
つま先立ちの状態でかかとをストンと落とすだけの「かかと落とし」や、テーブルなどにつかまって行う「片脚立ち」、ウォーキングの際はかかとから着地するのも効果的です。また、スクワットなど筋肉を鍛える運動は、転倒予防にもつながります。
骨密度検査を受けましょう
「骨密度」は、骨の強さを判定するための代表的な指標です。 主な検査は「超音波法」という、かかとの部分を調べる手軽なものです。各自治体でも検診を行っています。特に40歳以上の女性は、定期的に骨密度を測ることをお勧めします。
●市川市 「体力測定・骨の健康度測定」※骨密度測定ではありません
ひまわりクリニックでも、骨密度測定が可能です。骨粗しょう症が重度の場合は薬の治療が必要な場合もあります。気になる方は、診察時にお申し出ください。