早くも梅雨入りしたかのような天気の5月、コロナウイルス感染症のワクチン接種が始まりました。依然として感染者数は数百人規模、引き続き感染予防に務めるように人との接触を避ける、外出を控えることが推奨されます。一方で、高齢者にとって自宅で過ごす時間が長くなることで運動量が減ってしまい、「フレイル」になることが懸念されます。フレイルを予防することが健康長寿の秘訣であり、最大の介護予防となります。
フレイルって?
フレイルとは、2014年に日本老年医学会が「Frailty(虚弱)」の日本語訳として提唱した概念です。加齢とともに心身が衰えた状態になることを意味し、健康な状態と要介護状態の中間的な段階と言われています。まずは高齢者がフレイルの症状にならないようにすることが大切。もしフレイルの症状があらわれた場合でも、家族と本人がともに状態の改善に向けて取り組むことで、十分に回復が見込めるのです。
フレイル予防には3つの柱「①栄養 ②運動 ③社会参加」があります。今回はひとつ目の柱「栄養」に注目し、それを摂取するために必要な「口腔機能」について詳しくみていきましょう。
オーラルフレイルの怖さ
加齢による筋力低下は四肢だけではなく、口や喉の筋肉の衰えにより「噛む」「飲み込む」「話す」ことがしづらくなります。歯の喪失も影響して固いものが食べにくくなると、やわらかいものばかり食べるようになります。すると噛むために必要な筋力がさらに低下し、嚙む力がさらに衰え、やわらかいものばかり選んでしまう……といった悪循環がおこります。口腔機能の衰えは食欲の低下につながり、さらには全身の機能低下を引き起こします。食べこぼしやむせ、口の渇きなどのささいな違和感を見逃さず、早めに対策していきましょう。
オーラルフレイル予防の三か条
1.チェックリストで早期発見ささいな変化に気づいたら、咀嚼を要する食材を意識的にとる、顔の筋肉を鍛えるお口の体操・ブクブクうがいなど
参考:公益社団法人 日本歯科医師会 リーフレット「オーラルフレイル」
2.かかりつけ歯科医を持ちましょう
1~3か月に1回、定期健診をうけましょう。歯に関する相談や歯みがき指導、虫歯の早期発見に、歯の喪失リスクを減らすことができます。歯科医院への通院が困難な方へ ご自宅・施設で歯科診療が受けられます。各自治体のWEBサイト(ホームページ)から訪問歯科診療対応の歯科医を知ることができます。
参考:浦安市 在宅医療|浦安市公式サイト
市川市 在宅医療・介護連携について | 市川市公式Webサイト
3.バランスのとれた食事をとりましょう
食事の内容が「低栄養」になっていないかに注目しましょう。低栄養とは、健康的に生きるために必要な量の栄養素が摂れていない状態を指し、高齢者に多く見られます。加齢による食欲低下や口腔機能の衰えなどで摂食嚥下に問題を抱えるようになることで食事量が減り、体を動かすために必要なエネルギーや筋肉量が低下します。その結果、元気がなくなったり免疫力が落ちたりして、体にさまざまな悪影響を及ぼします。バランスのよい食事については、次号で詳しくお伝えします。
歯の健康は、高齢者にとっては特に大切なことです。6月4日から10日は、歯と口の健康週間。この機会に、生涯自分の歯で食べる楽しみを味わえるため、口腔ケアを見直してみませんか?ひまわりクリニックでは訪問診療の際、お口の状態もチェックしています。訪問歯科医との連携もとっていますので、お気軽にご相談ください。