秋、健康診断を受ける方もいらっしゃるのではないでしょうか。最近ではオプションメニューで血管年齢検査なるものもあるようです。
血管の老化と動脈硬化
血管年齢とは、動脈硬化の進行具合を意味する言葉です。動脈硬化は加齢とともに進行する老化現象で、血管の壁が老化して、硬くてもろい状態になってしまうことです。動脈硬化になると、血液の流れも悪くなってしまいます。動脈硬化が進むと、血管が血液の流量に合わせて柔軟に伸縮できず、高血圧の原因になるだけでなく、ひどいときには血流に耐えきれず破裂したり、狭くなった血管に血栓ができて詰まったりということが起こりやすくなります。その障害が起きる場所によって、「心筋梗塞」や「脳梗塞」「大動脈瘤」といった深刻な症状を引き起こすことがあるのです。
動脈硬化の原因は、加齢だけではありません。偏食や運動不足、喫煙などの影響で、実年齢以上に老化が進んで血管年齢が高くなることが知られています。減塩や野菜豊富な食生活、適度な有酸素運動の継続など、日々の健康への意識が動脈硬化を遅らせ、血管年齢を若く保つことにもつながります。
毛細血管の働き
血管は、血液を心臓から全身に届ける「動脈」、全身の血液を心臓に戻す「静脈」、体の末端まで栄養を届ける「毛細血管」で構成されています。大きな動脈と静脈だけでは体中ひとつひとつの細胞をカバーしきれないため、網の目状に張り巡らされている毛細血管が下記のような役目を担っています。
- 細胞に栄養と酸素を届ける
- 細胞から老廃物と二酸化炭素を回収する
- 外敵が侵入したとき、免疫細胞を派遣する
- 様々なホルモンを必要な場所に運搬する
- 血流を調整することで体温調節(寒い時は収縮、暑い時は拡張)
毛細血管も中高年になると徐々にもろくなり、劣化します。すると、血流が滞り体の隅々まで栄養が届かなかったり老廃物が回収されなくなったりしてしまうため、皮膚や内臓、筋肉に影響が出ます。
加齢により不調が出てきたり病気になったりするのは、毛細血管の働きが衰えるのも原因のひとつです。また、加齢だけでなく、生活習慣の乱れも毛細血管の劣化を引き起こします。
~毛細血管劣化のチェックポイント~
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顔色が悪い
シミ・シワが増えた
傷や腫れが治りにくくなった
疲れやすかったり、風邪をひきやすくなった
物忘れ、集中力の低下
冷え・凝り・痛み
胃もたれ・便秘・下痢
毛細血管を蘇らせることはできるの?
残念ながら、一度劣化した毛細血管を蘇らせることはできません。ただ、新たな毛細血管を増やすことはできます。そのために必要なことは、血流を増やすこと。運動や食事で血行を良くして血管を丈夫にすることで、毛細血管を増やしていくことが出来ます。
毎日少しずつでも血流をアップさせることが出来るよう、生活習慣を見直すことが大切です。血流アップの具体的な方法は、次回お伝えします。