春らしい暖かい日が増えてきましたね。そろそろ厚手のコートをしまう方も多いかもしれませんね。前回お伝えした冬場の浴室でのヒートショック同様、気温の前日差や朝晩の気温差が大きいこの時期は血圧の変動が大きくなります。血圧の乱高下は体に大きな負荷をかけ、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こすリスクもあるため、季節の変わり目には特に注意しましょう。
血圧は変動する
血圧は常に一定ではなく、一日の中で、また季節によって変動しています。これは高血圧患者だけでなく、正常な血圧の人でも同じです。
- 日内変動
朝起きてから寝るまで、血圧は常に変動しています。睡眠中の血圧は低く、起床とともに上昇していきます。日中の活動時間もやはり高めで、活動量が低下する夕方から夜にかけて再び低下していき、また翌朝の目覚めで上昇する、というリズムが基本です。 - 季節変動
日内変動より周期が長く、寒暖差に伴う血圧の変動です。春から夏の気温が上昇している季節には血圧は下がり、秋から冬にかけて気温が低下する季節には血圧は上昇する傾向にあります。冬場の血圧上昇は気温だけが影響するのではなく、寒さによる血管の収縮、血圧を上げて体温を維持しようとする体の働きも考えられ、さらに冬場は運動量が減ったり塩分の多い食事が増えたりすることも原因のひとつです。また、喫煙や飲酒などの生活習慣、ストレスや緊張などの精神的なものも血圧上昇の原因になるといわれています。
注意したい「早朝高血圧」
起床後1~2時間以内の血圧が高い場合は、“隠れ高血圧”の可能性があり、注意が必要です。数値で見ると、診察室血圧が140/90mmHg未満で、起床時の血圧が135/85mmHgを超える場合です(「高血圧治療ガイドライン2019」による)。
健康な人でも朝起きて活動を始めると血圧が上がりますが、早朝に血圧が急上昇するのは問題です。これは医療機関では見つけられないため、家庭での血圧測定が重要になります。
血圧の乱高下が引き起こす怖い病気
特に高齢者の方・重度の高血圧症の方は血圧変動がより大きくなる傾向にあるため、十分な注意が必要です。血圧の変動は血管への負荷をかけ、様々な病気を引き起こします。最も怖いのは脳血管疾患、突然死に至ることもあれば、一命をとりとめても深刻な後遺症を
残すこともあります。また、要介護になる最大の原因も脳血管疾患によるものともいわれています。
血圧をコントロールし、血管を老化させないような生活をする。そのためには、普段から自分自身で血圧を測定する習慣をつけて、血圧の変動を把握しておくことが大切です。「日本高血圧学会」と「人間ドック協会」では年齢別に血圧の正常値・平均値などが確認できます。まずは自分の数値を知るところから始めましょう!