春爛漫、屋外ではマスクを外す人も増えてきたように感じます。新年度のはじまり、ランニングやウォーキングを始める目標を立てるのも良いですね。誰でも手軽にできる運動の“歩くこと”ですが、加齢による筋力低下やふらつきで、自分ひとりでは困難になってしまうこともあります。
しかし、ふらつきのある高齢者が歩くことをあきらめないよう、介助者がサポートできる方法は色々あります。今回は、歩行補助具を使用しない場合の介助のポイントなどをお伝えします。
寄り添いの歩行介助
介助者の立ち位置は、高齢者の側方です。高齢者の利き手と反対側に立ちます。高齢者が足の左右どちらかに痛みや麻痺、筋力低下などの不調がある側に、不調の部分を担う気持ちで立ちましょう。高齢者の脇の下に手を入れ、もう一方の手で手首を軽く支えます。ふらつきの大きい高齢者の場合は、腰をしっかり支えるように介助しましょう。
お互い前方を向いて歩くことができるので、ストレスなく長い距離を移動することができます。
手引きの歩行介助
介助者の立ち位置は、高齢者の正面です。高齢者の肘を下から支えるかたちで前腕を支えます。高齢者には、介助者の肘から上腕のあたりをつかんでもらいます。介助者が後ろ向きで歩くため、背後に十分注意する必要があります。事前に足元に障害物がないかしっかり確認しましょう。また、高齢者が腕を支えにすることで前のめりになってしまいがちなので、前方へ転ぶリスクがあります。短い移動に向いた介助で、高齢者の表情を観察しながら、本人のペースに合わせるのが何より大切です。
後ろからの歩行介助
介助者の立ち位置は、高齢者の背面です。高齢者の脇の下、または腰を軽く支えます。高齢者の歩行の一歩一歩に合わせ、本人の進みたい方向へ向かうのを後ろから支えます。しっかり立つことはできるけれど歩くときにふらつきが出る高齢者に対して後ろから歩行介助を行うことはできますが、立つこともあやうい高齢者の場合、背中全体を抱えて介助しなければなりません。これは高い介助技術が必要なので、目的が明確でない限りはあまりおすすめできません。
どの歩行介助がいいの?
歩き方というのは十人十色で、この疾患だからこの介助、この症状だからこの立ち位置、という決まりはありません。まずは、上記の3つの立ち位置を試してみて、介助者が一番楽に感じる、しっくりくる立ち位置を選ぶのがよいでしょう。介助者が楽だと思う立ち位置は、高齢者にとってもやはり楽に感じるからです。
どの介助を選んだとしても、二人三脚のように高齢者のペースに合わせ、リラックスした雰囲気で行いましょう。
次回は、歩行補助具についてお伝えします。