「人生100年時代」を心身ともに健やかに暮らすためのヒントを4回にわたってお伝えしま
す。前回の「食事」に続き、今回は「運動」の大切さについてです。
「運動」で健康寿命を延ばす
人生100年時代で重視されるのは、健康寿命。WHO(世界保健機関)では「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義され、日本政府は2019年に「健康寿命延伸プラン」を策定し、2040年までに健康寿命を男女ともに75歳以上とすることを目標とし、その施策をまとめています。
(2016年は男性72.14歳、女性74.79歳/厚生労働省)
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
栄養(食・口腔機能)を基本とし、定期的に運動をして筋肉・関節・骨の運動機能を維持する必要があります。
また、読書したり絵を描いたりして脳を積極的に活性化させること、シルバー人材センターに登録して働いたりボランティア活動をしたりと社会参加し続けることも大切です。要介護要因一位の認知症予防のため、脳と体の健康づくりに取り組んでいきましょう。
筋トレ&骨トレ~Wで鍛える!
筋肉を鍛える“筋トレ”は、健康でいるために全ての年代に必要です。と言っても、必ずしもジムに行ったり特別な道具を使ったりしなければならないわけではありません。特に高齢者は筋肉量を維持する・衰えさせないことを目標に、歩く・階段を利用するなど日常生活に自然に組み込むことを心がけましょう。
“骨トレ”はあまり耳慣れない言葉かもしれませんが、骨粗しょう症や骨折の予防のために筋トレと共に習慣化するとよいでしょう。筋肉量も骨密度もピークは20代で、その後はゆるやかに減少していくそうです。筋肉量は50代から1年間で1~2%減り、骨密度は65歳から1年間で1.5%ずつ減っていきます。
高齢者は意識的に骨を鍛える“骨トレ”、骨に力学的ストレス(重力・衝撃)をかける運動も取り入れましょう。
- かかと落とし
つま先立ちになってストンとかかとを床に落とします。体重をかけるだけの衝撃で骨は強くなり、さらに骨に負荷がかかることで骨の主成分であるカルシウムが沈着して骨量を増やせます。1日50回を目安に。つま先立ちになることでふくらはぎの筋トレも同時に行えます。 - 階段を下りる
かかと落とし同様、かかとに体重がかかる衝撃で骨形成が促されます。駅やお店でエレベーターやエスカレーターではなく、なるべく階段を選びましょう。階段は転倒のリスクもあるため、靴は滑りにくくヒールのないものにし、手すりも利用しましょう。
階段を下りるのは骨トレ、上るのは下半身の筋トレになります。
運動はマイペースで
杖や車椅子を使用している方、寝たきりの方など、高齢者の身体能力は人によって様々です。それぞれのペースで無理なく続けることが大切です。
自力で体を動かすことが難しい方には、マッサージが有効です。さすったり指圧したりすることで血流やリンパの流れがよくなります。
サポートがあれば動ける方には、まずは立ち上がる・座る・歩くなどの日常的な動作から。歩くためには足の指を鍛えることが大事なので、足指じゃんけん(グーパーと広げたり曲げたりする)やタオルギャザー(タオルを足元に置き、足指を使って手繰り寄せる運動)を取り入れましょう。座りっぱなしもよくないので、30分おきに立ち上がるようにしましょう。高齢者だけでなくデスクワークの方も習慣化したいですね。
次回は病気を未然に防ぐ「定期健診」についてお伝えします。