大変なスタートとなった2024年、被災地の方々が一日も早く日常を取り戻せるようお祈り申し上げます。阪神淡路大震災から29年、3月には東日本大震災から13年。災害はいつ何時起こるかわかりません。日頃から防災の意識を高めると同時に、万一の際に避難できる体力も必要となるでしょう。

「人生100年時代」を心身ともに健やかに暮らすためのヒントを4回にわたってお伝えします。今回は、からだをつくる礎となる「栄養のある食事」についてです。


高齢者の食欲不振、軽んじてはいけません

食事面で若い頃と大きく異なるのは、食事の摂取量です。これは活動量が減ることにより食欲が低下したり、噛みづらさや飲み込みにくさから食事に積極的でなくなったりするためです。必要な栄養が足りなくなると、風邪をひきやすくなる・疲れがとれない・めまいやふらつきが起こります。体力低下はさらなる食欲不振につながり、「低栄養」の状態になってしまいます。この結果、骨が折れやすくなったり、誤嚥性肺炎、低たんぱく血症、低血糖の病気になる可能性が高くなります。

高齢者の低栄養を防ぐためには、正常な食生活を送れるように家族や介護者が見守りコントロールすることが必要になります。


大切な3つの栄養素

高齢者に限らず、日々の健康を保つために特に重要な栄養素となるのが「三大栄養素(エネルギー産生栄養素)」です。三大栄養素とは、食べ物に含まれる栄養素のうちたんぱく質・炭水化物(糖質)・脂質のことを指します 。それぞれの働き、どの食材に含まれているかについては次の通りです。


1.たんぱく質
骨・筋肉・臓器をつくる働き。酵素の働きなど、体の機能を調整する役割もあります。肉、魚、卵、乳製品、大豆製品などに含まれています。

高齢者のたんぱく質摂取の目安は、65歳以上の男性は60g/日、65歳以上の女性は50g/日が推奨されています。たんぱく質の必要量は体重1kgあたり1g~1.2g程度と覚えておくと便利です。摂りすぎは内臓に負担がかかりますので注意しましょう。

たんぱく質は動物性と植物性がありますが、高齢者は動物性たんぱく質を十分に摂取する、魚と肉の割合は1:1程度の割合にする、肉は種類や部位の偏りなくさまざまな種類を選ぶのがポイントです。1日200㏄の牛乳を飲むことも推奨されています。牛乳に含まれるたんぱく質やカルシウムなどが骨の形成をするのに役立つので、夕食時に牛乳を飲むとより良いでしょう。


2.炭水化物
炭水化物(おもに糖質)は、ブドウ糖や果糖などから構成されているものの総称です。米やパンなどの穀類、麺類、豆、芋などに多く含まれています。体を動かすエネルギー源になるので、朝食時にしっかり摂るようにしましょう。不足すると疲労感や判断力の低下などを引き起こす可能性があります。65歳以上の男女ともにエネルギーの50~65%が目標値(エネルギーを1600kcalとした場合200g~260g)。


3.脂質
神経組織・細胞膜・ホルモンなどをつくる働き。エネルギー源となったり、脂溶性ビタミンの吸収を促したりする役割があります。65歳以上の男女ともにエネルギーの20~30%が目標値(エネルギーを1600kcalとした場合、脂質は35~53g)。脂質は、多すぎても少なすぎてもよくありません。揚げ物やラーメン・パスタなどを食べたい場合は、昼食時に摂取するとよいでしょう。

注意してほしいのは、脂質の種類です。青魚やくるみなどに多く含まれるオメガ3脂肪酸、オリーブオイルやアボカドなどに含まれる一価不飽和脂肪酸など、体に良い脂質を選ぶようにしましょう。


参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」


3食しっかり&おやつで栄養補給

三大栄養素をしっかり摂り、さらにカルシウム、ビタミン、ミネラル、鉄分、食物繊維もバランス良く摂取しましょう。これらの栄養素の一日あたりの必要量を十分にとるためには、一日3食で主食・主菜・副菜をきちんと食べる必要があります。とは言え、毎食すべてを準備から後片付けするのは大変です。あらかじめ具材がカットされた手作りキットや電子レンジで調理できる冷凍のお弁当を利用してはいかがでしょう。自宅での調理が難しい場合は、高齢者向けのお弁当の宅配サービスを。やわらかさの度合いや、飲み込みやすいメニューを選ぶこともできます。

また「おやつに何を選ぶか」もポイント。食事とは違った味や見た目、食感を楽しむことで、満足感を得ながら一日3食の食事では補いきれない栄養を摂ることができます。

おすすめメニューは、たんぱく質の摂取もできるプリンや、寒天やゼラチンを使ったフルーツゼリー、食物繊維たっぷりのサツマイモの蒸しパンなど、やわらかく飲み込みやすいデザート。好きなお菓子に牛乳や豆乳たっぷりのカフェオレを合わせたり、甘酒やスムージーを選んだり、美味しく楽しいおやつタイムを設けられるといいですね。


次回は、栄養の吸収を良くする効果も高い「運動」についてお伝えします。


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