最近話題の「コンビニジム」をご存じでしょうか?無人のジムで、会員になると着替えずそのままトレーニングマシンを利用できるそうです。健康であるために欠かせないのが適度な運動です。コンビニジムよりもっと手軽にできるのは“歩くこと”、日常生活で自然に行っており、年齢を問わずできる運動です。しかし、高齢者になると筋力の低下や怪我などによって、歩行時のバランスをとることや長距離の歩行が困難になることもあります。そのような時は、歩行補助具をうまく利用してみましょう。


歩行器の種類

歩行器の種類は大きく分けると以下の3種類です。

  1. 固定型歩行器(持ち上げ式、ピックアップ式)
    両手で持ち上げて前方に運んで使う。安定感があるため、上半身にある程度筋力のある方・脚に痛みがあり筋力が弱い方・杖では歩行が不安定になる方におすすめ。移動の速度は遅いため、屋内での使用に向いている。収納に便利な折り畳みができるもの、高さを調節できるものもある。
  2. 交互型歩行器
    左右のフレームがそれぞれ動く構造で、固定型よりもバランス機能が必要となるが固定型より早く歩くことができる。左右どちらかの足が常に地面に接しているため、安定性も高い。片足に痛みのある方
    ・姿勢バランスが取りにくく歩行が困難な方におすすめ。
  3. キャスター付き歩行器
    歩行車とも呼ばれる。前輪付き、前輪・後輪付き(四輪)の2種類があり、持ち上げずに前に進むことができる。腕やひじをのせた状態で体重をかけて使うことができる。多種類あり、ハンドブレーキ付き、腰かけや買い物に便利な荷物入れがついたもの、モーターや傾斜センサーが備わっているもの、折りたたみできるものなどがある。多機能のものは重さもあり、どういう場面で使うかを想定して選ぶのがよい。足腰に痛みのある方 ・筋力の弱い方・リハビリをはじめたばかりの方におすすめ。

  4. シルバーカーも歩行器?

    街で多く見かけるのは、シルバーカーと呼ばれるタイプのものです。ハンドルが真っ直ぐの形状で、コンパクトタイプ、ミドルタイプ、座面も広く腰かけることもできるボックスタイプなど、こちらも多種多様。
    シルバーカーも歩行の助けになることを目的としていますが、歩行器との大きな違いがあります。シルバーカーはあくまでも荷物を収納したり時々腰かけたりするためのものであり、体重をかけることを想定したつくりにはなっていません。
    一方、歩行器・歩行車は体重をかけることを想定したつくりになっており、自立歩行が難しい人やリハビリ用に使用する補助器具。このため、歩行器は公的介護保険の対象になっています。


    歩行器を選ぶポイント

    最も重要なのは、安定性です。 体重をかけるのですから、がたつきなど不安を感じるものは避けましょう。また、体をあずけるちょうどいい高さは体格によって異なるので、高さ調節できることも大きなポイントです。それにより疲労感が違ってくるでしょうから、長時間の歩行を想定する場合はぴったりくるものを選びましょう。


    使用する場所が屋内なのか屋外なのか、屋外ならどのくらいの距離なのか、バスの乗り降りもあるのか、などシーンによって選ぶポイントは変わってきます。使用者の身体の状態をしっかりと見るだけでなく、丁寧なヒアリングをしてどのタイプの歩行器を選ぶかを決めましょう。


    歩行器などの福祉用具はレンタルするのもおすすめです。専門職員が一緒に選んでくれたり、身体の状態の変化に合わせて選び直してくれたり、定期的なメンテナンスや調整を行ってくれる点が安心です。
    先に述べたように介護保険の対象になるので、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してみると良いでしょう。


    ベストな歩行器・シルバーカーを選ぶことで歩行時の不安が軽減され、今まで家に閉じこもりがちだった方も外出が楽しみになります。そうやって少しずつ運動を続けることで健康寿命を延ばしていきたいですね。


    次回は歩行補助具を使用した方への介助方法についてお伝えします。