先月18日の「敬老の日」、総務省の発表によると日本の65歳以上の高齢者は3623万人、このうち80歳以上の人は1259万人で過去最多。総人口に占める割合は10%を超え、10人に1人が80歳以上となりました。共に楽しく暮らしていくためには、高齢者の加齢に伴う心身の変化に対応することが大切です。今回はコミュニケーションのとり方のコツについてお伝えします。


聞き上手になろう

コミュニケーションの基本は会話です。ただ、高齢者によって聴覚のコンディションや認知機能の衰えの程度は様々で、会話をしていてもうまく嚙み合わないこともあるでしょう。まずは「聞く」立場に徹し、高齢者の方に話してもらうようにしましょう。
聞く際のポイントは“聞き上手”になること。相手の話を遮ったり否定するような言葉は避けましょう。相手の話すペースに合わせて相づちを打ち、共感したポイントでは質問を投げかけたりすると良いでしょう。話すことで脳が活性化し、認知症予防効果もあります。
「回想法」と呼ばれる心理療法もおすすめです。最近の記憶を保つことは難しくても昔の記憶は保持されているため、昔のことをお互いに語り合い思い出に浸る時間を持つことで、精神的な安定ももたらされます。


話すときは、聞き取りやすい工夫を

特に注意したいことは、次の5つです。

  • わかりやすい言葉で、はっきりと伝える
  • ゆっくり落ち着いて話す
  • 低めの声で話す
  • 相手の正面から、目線を合わせて話す
  • 話を聞く準備を促す

言葉の聞き取りにくさが原因で、コミュニケーションがうまくいかないことも少なくありません。60代以上になると、若いときと比べて高い周波数の音が聞こえにくくなります。あまり情報は詰め込みすぎず、言葉を区切って話すと理解してもらいやすくなります。
また、突然話を始めると混乱してしまうため「今、お話しても大丈夫ですか?」「今から〇〇についてお話しますね」と話し、相手が聞く準備に入ってから話し始めましょう。


非言語的コミュニケーション

言葉よりも、もっと多くを伝えるのが「態度」です。アメリカの心理学者・メラビアンの実験によると、言葉によって伝わる感情はわずか7%にすぎず、残りの93%が声の調子や視線やしぐさといった「非言語コミュニケーション」によって伝わっているのだそうです。笑顔なのか、無表情なのか、どんな身だしなみなのか、声のトーンはどうかなど、目に映る視覚情報や聴覚情報は言葉以上に人に大きな印象を与えます。

好印象を持たれるような聴覚情報は先に述べた通りです。視覚情報では次のような部分を意識しましょう。

  1. 柔らかい表情、自然な笑顔
  2. 適切なアイコンタクト
  3. 相手と同じ目線が基本
  4. 相手と90度の角度で座る
  5. 身だしなみ、姿勢(腕組や足組み、ポケットへ手を入れるなどはしない)

非言語コミュニケーションを活用して、意思疎通がむずかしくなってきた高齢者と信頼関係を築きましょう。