2月から連載でお伝えしている「人生100年時代」を心身ともに健やかに暮らすためのヒント。最終回となる今回のテーマは「社会参加」です。高齢者が社会とつながること、すなわち人と人のコミュニケーションの機会の大切さについてお伝えします。


心身の健康の基幹となる「コミュニケーション」

近年、各企業が従来60歳から65歳定年に改定する「定年延長」の動きが増えてきています。内閣府がまとめている『令和4年度版高齢社会白書』の「高齢者の日欧生活・地域社会への参加に関する調査」によると、65歳以上の人の30.2%が収入の伴う仕事をしており、51.6%が何らかの社会活動に参加しているそうです。みなさんのまわりの60代は言わずもがな、70代・80代の方々も、定年退職後にも働き続けている方、地域のボランティア活動や趣味のサークル活動に参加していている方が多いのではないでしょうか。

一方で高齢化に伴い一人暮らしの高齢者、いわゆる「独居老人」が増えています。孤立や孤独は時に心身に重大な悪影響を及ぼしてしまうこともあり、地域福祉の課題となっています。高齢者夫婦や家族と暮らしている高齢者でも、自宅に引きこもりがちな方は注意が必要です。家族以外の他者とのやり取りが少なくなるとコミュニケーション能力が下がりやすくなるのが、その理由です。

人に会って話すことは、日々の充実感やモチベーションになります。会話により脳は活性化し、認知症予防にもつながります。また、詐欺などの犯罪の対処法や地域に関する情報を得る貴重な機会にもなります。子供と離れて暮らす高齢者も多く、緊急時に誰かを頼ったり助けを求めたりする際にも、コミュニケーション能力は必要です。どんなかたちでもよいので、積極的に地域の交流の場に参加しましょう。


さまざまな団体、さまざまな活動

地域のコミュニティや活動に参加することは外出のきっかけになります。スポーツ系のサークル活動であれば適度な運動習慣となり、健康にもよい影響を及ぼします。自分のペースで心身に負担なく活動に参加でき、楽しみや生きがいを感じられる場ができるとよいでしょう。新しいことを始めるのに消極的な高齢者もいらっしゃるので、時にはご家族の方が情報収集してみてはいかがでしょうか。さまざまな団体や活動がありますので、いくつかご紹介します。


インターネット上でのつながりについて

シルバー人材としての労働やボランティア活動などの実際に出向く社会参加があれば、自宅にいながらにして社会参加する方法もあります。
動画配信サイト「YouTube(ユーチューブ)」を見るだけにとどまらず「シニアユーチューバー」として活動する人も少しずつ増えてきているそうです。SNSで自ら発信するのは難しくても、情報収集したりインターネット上のコミュニティに参加したりするのも、社会とのつながりのひとつの方法だと言えるでしょう。
行政・金融サービスの多くがデジタルに移行しつつある現代では、パソコン・スマホを「使う」能力のみならず「正しく使う」能力が必要です。ウイルス感染やクリック詐欺、フェイクニュースなどの違法・有害情報に惑わされず、誤った情報を拡散しないためには、デジタルリテラシーの向上は必至です。自分の身を守る知識を得、スマホ依存にならないような適切な距離を保ち、安全に楽しく利用できるとよいですね。

総務省が発行する安心・安全なインターネットご利用ガイドもご参考になさってください。
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