立春を過ぎましたが、冷え込みもオミクロン株もなかなかおさまりません。3回目のワクチン接種も始まった自治体もあるようですが、接種まで時間がかかる方もいらっしゃることでしょう。今できることはやはり、基本的な感染予防対策です。手洗い・うがい・マスク・消毒、そして睡眠と栄養をしっかりとって免疫力を高めること。免疫力アップに効果があると言われる腸内環境、そのための食事編に続き、今回は生活編としての“腸活”ポイントをお伝えします。


悪玉菌が増える原因

腸内環境は、善玉菌・悪玉菌・日和見菌から成る腸内フローラの状態で決まります。前回お伝えしたように食生活を改善することで善玉菌が活動しやすい腸内環境になりますが、プロバイオティクスの摂取を継続していく必要があります。悪玉菌が増えると日和見菌はその名のとおり悪玉菌に転じ、腸内環境のバランスが崩れて様々な不調があらわれます。
悪玉菌が増える原因と言われているのは、偏食・生活習慣の乱れ・運動不足・便秘・加齢など。なかでも運動不足と便秘は腸の働きと密接に関わっており、共に改善していく必要があります。


「ぜんどう運動」と便秘

腸には小腸と大腸があり、小腸では食べ物が消化・吸収され、大腸では水分が吸収されます。残った老廃物は大腸の中を運搬され、肛門から便として排出されます。腸が縮んだり緩んだりしながら内容物を押し出していくことを「ぜんどう運動」と言います。腸内環境が悪くなるとこのぜんどう運動は弱くなり、便秘が起こります。押し出す力が弱く老廃物が腸内に長く溜まってしまうため、腐敗が進みガスが発生して下腹部が張ったり、おならの回数が増えたり、口臭や体臭などにおいが気になったりすることもあります。また、肌荒れや吹き出物の原因にもなります。
便秘とは、一般的にお通じがしばらく見られない状態を指します。ただ、お通じの頻度には個人差があり、毎日ではなくても不快感がなければ特に問題はありません。介護の必要な高齢者では3日以上お通じがみられない場合は便秘と考えた方がよいでしょう。便秘をそのままにしておくと腸閉塞や直腸潰瘍などの合併症を起こすこともありますので、高齢者が便秘になったらきちんと対処することが大切です。


ぜん動運動を活発にする3つの運動

腸のぜんどう運動を促すには、適度な運動が効果的です。筋肉に刺激を与えることでお腹周りの血行がよくなり、胃や腸の働きを活性化させます。次にあげる3つの運動はどれもハードなものではないので、毎日の習慣にしましょう。

①軽いウォーキング
歩くことは、腸に小刻みの振動を与えます。目標は一日30分、足をしっかりと動かして腹筋を刺激するように歩きましょう。特に効果的なのは、夕方以降の軽い運動です。精神を安定させる働きであるセロトニンが分泌され、リラックス・安眠をもたらします。
②腰をひねるストレッチ
座っている時間が長いとお腹を長時間圧迫し、腸が下側に折りたたまれる状態になり、腸の曲がり角に老廃物がたまりやすくなります。椅子に座った状態または仰向けに寝転んだ姿勢で、お腹をしっかり伸ばし、体を腰からゆっくり左右にひねります。この時、呼吸を意識しながら行うのがポイントです。
③腸活マッサージ
腸を直接刺激するマッサージも有効的です。おへその周りを時計回りに、両手でしっかりと刺激しましょう。要介護者の方には、やさしく「の」の字マッサージを。仰向けに寝転んだ状態で両ひざを立たせ、時計回りに「の」の字を描くように。2~3セット行いましょう。


朝から腸活!

前回、朝食をとること・朝食後のヨーグルト摂取は効果がある、とお伝えしました。他にも“朝”行うとよい行動があります。
・起床時に一杯の水を飲む
腸に刺激を与えます。眠っている間に失われた水分補給にもなります。
・朝日を浴びる
ウォーキングと同じく、セロトニン(心身の安定効果)が分泌されます。また、体内時計が正しくリセットされ、メラトニン(睡眠誘発物質)の昼間の量が抑制されることで、逆に夜にはしっかりとメラトニンが分泌され安眠をもたらします。
・トイレに行く
便意を感じなくても意識してトイレに行く習慣をつけます。排便しようとしないとその状態に慣れ、次第に便意を感じにくくなり、便が肛門あたりまできていても出なくなってしまいます。朝食後だけでなく、食事の後はトイレに行きましょう。


朝の腸活の習慣化は、夜の過ごし方からつながっています。夕飯は軽めにする・入浴は湯船につかって腸をあたためる・0時までに就寝することなども心がけましょう。言わずもがな、良い睡眠は生活習慣病の予防にもなります。腸活をはじめとした免疫力アップ習慣で、病気をよせつけないからだをつくりましょう!