昨年の秋に千葉県を襲った台風・豪雨から1年が経ちますが、まだまだ復旧していない地域も多くあるそうです。被災者の方々が一日も早く元の生活に戻れるよう願うばかりです。
 
台風シーズンになれば非常に強い勢力の台風が上陸することも多く、地震にいたっては一年中昼夜を問わず起こる可能性がある日本では、常日頃から防災意識を高める必要があります。
 
高齢者、中でも要介護者や認知症の方は、避難場所での環境変化やストレスにより症状が悪化することも少なくありません。自宅とその周辺の安全が確認できた場合、住み慣れた自宅での避難も選べるような準備をしておきましょう。

 

要介護者のための備蓄品

台風予報が出た直後に買い物に行けなかったり、必要なものが店頭からなくなり入手できなかったりすることがあるかもしれません。日頃から多めに用意し、1個食べたら1個買う、1パックを開封したら新たに1パック買うなど、日常で使いながら補充する「ローリングストック」がおすすめです。
介護食(缶詰・レトルト食品)……日頃食べ慣れているものがよいでしょう。「毎月〇日」「〇曜日の昼食」といったマイルールを決めるのもよいですね
飲料水+とろみ剤……脱水症・誤嚥予防
常備薬とお薬手帳……かかりつけ医と相談して、災害に備えた量の確保を。保険証・介護保険証・診察券・緊急連絡先のメモなども一緒に「通院セット」としてポーチにまとめておけば、すぐ持ち出せます。
おむつ、からだ拭きシート……1日に必要な枚数を把握したストック数を。排泄のバランスが崩れることもあるので多めに用意しておきましょう。段ボール+ビニール袋+おむ
つで、簡易トイレとしても使えます。
マスク、アルコール消毒剤、口腔ケアグッズなど……コロナ対策、感染症対策も引き続き必要です。

 

非常時の電源の確保

電動車椅子・電動ベッド・人工呼吸器・吸引機などなど、電源が必要とする医療機器を使っている方は、停電時の対策を忘れずに。
1.点検を習慣化
充電を満タンにするよう心がけ(電池の性質にもよります)、お使いの機器に合わせて予備バッテリーやポータブル発電機など準備しておくと安心です。
2. 停電時の使い方を確認
福祉用具のレンタル会社やメーカーに「災害時に起こりうること・非常事態の場合の対処法」を問い合わせましょう。取扱説明書の該当ページをコピーしておくと安心です。
3. 困った時はプロに聞く
ただ、どれほど準備をしていても災害時に冷静に対処できない場合もあれば、介護者が不在の場合もあるかもしれません。その場にいる誰もが対応できるように、かかりつけ医や訪問看護師、ケアマネジャーや医療機器の取扱先などの緊急連絡先を一覧表にして貼っておきましょう。

 

困った時は、ご近所に頼ろう

防災の基本は、自分の身は自分で守る「自助」ですが、地域や身近にいる人同士が助け合う「共助」は災害による被害を少なくするための大きな力となります。特に在宅介護のお宅では、周囲の助けがなければどうにもならない場合が出てきます。ご近所の方に事情を話しておくなど、普段からコミュニケーションをとっておくことが大切です。
災害時の状況をシミュレーションして「介護者一人でもできること」「家族でできること」をきちんと把握しておくことで、「ご近所の力が必要なこと」が起きた場合に迷わず頼ることができるはずです。

 

災害時要援護者名簿(避難行動要支援者名簿)への登録

高齢者や障がい者など、災害時に自ら避難することが困難な方を「避難行動要支援者(災害時要援護者)」と呼びます。ご本人の希望に基づいて名簿に登録することで福祉関係者・自主防災組織・消防団などにも情報が共有され、災害発生時の安否確認、救助、避難誘導、また日頃から見守りなどの支援が受けられるようになります。該当する方は、最寄りの自治体に相談してみてください。

●浦安市 「災害時要援護者名簿への登録」
●市川市 「避難行動要支援者名簿(旧災害時要援護者名簿)の登録を受け付けています」
総務省消防庁WEBサイトでは「避難行動要支援者名簿」と表記されています※

 

ひまわりクリニックでは、訪問医療の観点からの防災アドバイスをお伝えできます。常備薬のご相談にも応じております。気になる点があれば、お気軽にお問い合わせくださいね。